海外旅行の計画を立てるとき、「ツアーに参加する」か「個人手配で自由に旅をする」か、二つのスタイルを選ぶことになります。
特に、日本語ガイド付きのツアーは安心感があるため、初めての海外旅行や言葉に自信がない方からは根強い人気を集めています。
しかし、私は海外旅行へ行く際、日本語ガイド付きツアーをほとんど利用しません。
もちろん、交通手段が複雑だったり、治安面でツアーを使ったほうが安全な場合は例外的に利用することもありますが、それでも全体としては個人手配を好んで選んでいます。
この記事では、私が「日本人ガイドツアーを使わない3つの理由」を中心に、個人手配のメリットや注意点、そして最終的には日本人ガイドツアーの持つ利点もあわせて紹介していきたいと思います。海外旅行のスタイルは人それぞれなので、自分に合った方法を見つけるための参考になれば幸いです。
1. 海外なのに日本化してしまう
海外旅行の醍醐味は「異文化体験」
まず、私が日本人ガイドツアーを避ける最大の理由は「海外の観光地が日本化してしまうから」。ツアーに参加すると、同行者は基本的に日本人ばかり。ガイドも日本語で説明してくれますし、周囲から聞こえてくるのも日本語が中心になります。
海外旅行の醍醐味の一つは、普段暮らしている日本とは異なる言語や文化、雰囲気の中に身を置くことだと感じています。日本語が飛び交う環境が悪いわけではありませんが、「せっかく外国に来たのに日本にいるのとあまり変わらない」と思ってしまう瞬間がどうしてもあるのです。実際、集合場所からバスに乗り、観光スポットへ着いてもガイドさんの日本語の案内を聞いていると、海外特有の空気感や音があまり耳に入ってこないもの。すると、海外独特の匂いや人々の生活感、街のざわめきなどを肌で感じる機会が減ってしまいます。
日本語オンリーになりがちな環境
海外に行くと、看板や広告はもちろん現地語や英語が中心。道を尋ねるときに多少の英語力やジェスチャー力が必要だったり、レストランではメニューを指さしながらなんとか注文したりする過程も、旅の楽しい思い出になるものです。ところが、日本語ガイドツアーに参加してしまうと、移動手段やレストランの予約までガイドさんが日本語でサポートしてくれます。トラブルが少なく、時間も有効に使える反面、「自分で海外と向き合う」ハードルを下げすぎてしまう感じがあるのです。
もちろん、初めての海外や慣れない国であれば、この日本語オンリー環境の安心感は絶大なメリットです。しかし、ある程度旅慣れてくると、現地の言葉が分からないなりにコミュニケーションを取るスリルや面白さを味わうことこそが海外旅行の真髄だと考えるようになります。
日本化が悪いわけではないが…
ただし、これはあくまで私個人の価値観です。
「海外の雰囲気なんて特に気にしないし、旅の目的は観光地を効率よく回ることだ」という方には、ツアー参加のほうが向いている場合もあります。日本化された環境はストレスが非常に少ないので、短い休暇で最大限楽しみたい方や、小さなお子さんやご年配の方連れで不安を減らしたい場合には最適でしょう。
それでも私が個人手配を選ぶ理由は、言葉も文化も異なる場所に飛び込む緊張感と、それを乗り越えたときの充実感を得たいから。ちょっと不便でも、その国ならではの香りや音をダイレクトに感じたいのです。
2. 他の日本人観光客とのコミュニケーションが苦手
日本語での密な会話にプレッシャーを感じる
2つ目の理由は、私自身がいわゆる「コミュ障」だからです。日本人ガイドツアーでは、同じツアーに参加する観光客は日本人ばかりですし、移動時間や食事時間など、ずっと同じメンバーと行動することが多いですよね。社交的な方にとっては、旅先で新しい友人を作る良いチャンスかもしれませんが、私の場合はどうしても余計な気遣いをして疲れてしまいます。
「せっかく同じツアーに参加しているのだから、話しかけないと気まずいかな」とか、「グループでのフリータイムに、一緒に行動したいと言われたらどうしよう」など、ちょっとした人間関係の距離感に戸惑います。旅行はリフレッシュするために行くものなので、できる限り気疲れはしたくないのです。
現地ツアーや個人行動だと気楽
一方、個人行動なら自分のペースで観光できますし、英語や現地語があまり得意でなくても、最低限のコミュニケーションで済むことが多いです。
例えば英語の現地ツアーに参加しても、他の参加者とは「どこから来たの?」という会話をするくらいで、あとは自然に流れ解散というパターンもよくあります。深い関係を築くためにがんばらなくても、気軽に旅を共有している感じなので、精神的に負担を感じにくいのです。
ツアーで仲間ができるメリットもある
もちろん、ツアーで出会った人と仲良くなり、その後も交友関係が続くという素敵なケースもたくさん耳にします。旅先での思い出を共有すると、一気に親密になれるものですよね。そうした縁を求める人や、知らない人とでも気楽に話せる人には、ツアーは最高の場になるでしょう。
しかし、私のようにあまり社交的でない人にとっては、知らない人たちと長時間一緒に行動するツアーの環境は、ちょっと荷が重いと感じてしまいます。そのため、無理なく楽しめる個人手配を選んでいるわけです。
3. 日本人ガイドは費用が割高
通訳スキルやサポート分のコストが上乗せ
3つ目の理由は、純粋にコストの問題です。海外での日本語ガイドは、現地の英語ガイドや、現地語を話すガイドに比べて割高になりやすい傾向があります。日本人ガイドさんは通訳や翻訳のスキルを持ち、かつ日本人観光客に合わせたサービスを提供してくれるので、それだけ人件費が高くなるのは当然といえば当然ですよね。
もし現地ガイドの英語ツアーで1万円ほどで済むものがあった場合、日本語ガイド付きだと2万円になることもざらにあります。特に、1人旅や少人数旅行でガイドを頼むと割高感が大きくなることもあるでしょう。
予算を抑えたい人には個人手配が有利
私が旅行プランを立てるときは、現地の情報を自分で調べて、安くチケットを手配したり、割安な交通手段を見つけたりするのが好きです。英語が多少苦手でも、最近はオンラインで情報が手に入りやすく、翻訳アプリも充実しているため、大きなトラブルに遭遇することはそうそうありません。
費用をできるだけ抑えたい方にとっては、個人手配で航空券から宿泊先、現地交通まで手配することで、結果的に旅費をかなり抑えられます。自由度も高いので、自分の興味に合わせてプランをカスタマイズできるのも魅力です。
マチュピチュもツアー無し、ガイド無しで余裕でした

お金で買える安心感もある
とはいえ、日本語ガイドをつければ自分で調べる手間やリスクを減らせるので、「お金で安心感や効率を買う」と考えることもできます。英語で苦労するくらいなら、割高でも日本語ガイドにお任せしたいと感じる方にとっては、それが一番の選択肢でしょう。旅のスタイルは人によって異なるので、自分が重視するポイント(コストを抑えたいのか、ストレスなく旅したいのか)を考えて決めると失敗しにくいですね。
個人手配の楽しみと注意点
準備段階からワクワクが始まる
私が個人手配を好むのは、旅のプランニングそのものを楽しめるからです。格安航空券のサイトを巡って価格を比較したり、ブログやSNSで現地交通の乗り方を調べたりする作業は大変ですが、その分、旅行前からワクワクが止まりません。
「この鉄道パスは何日券があるのかな?」「ここからここに行くにはどのバス路線を使うのかな?」など、実際に自分で調べていくうちに、その国の文化や地理に関する知識も自然と増えていきます。こうした準備こそが、私にとっては海外旅行の醍醐味の一部なのです。
トラブル発生時のリスクと対処
しかし、個人手配には当然リスクもつきまといます。言語の壁や交通機関の遅延、ホテルのチェックインでのトラブルなどが起きた場合、基本的には自力で解決しなければなりません。特に慣れない国だと「ホテルの場所が分からず迷子になった」「駅でチケットを間違って買ってしまった」などの想定外のハプニングも起こり得ます。
一方、ツアーや日本人ガイドがついていれば、こうしたトラブルをガイドさんが解決してくれるので、旅の快適さは格段に上がります。時間が限られている場合や、トラブル対応に不安が強い方なら、やはりツアーのほうが無難といえるでしょう。
それでも日本人ガイドツアーを勧める理由
安心感と効率を重視するなら断然アリ
ここまで、日本人ガイドツアーを使わない理由を述べてきましたが、実際のところ私は他人には「日本人ガイドツアーもアリですよ」とよく勧めています。慣れない海外では、不測の事態が起きたときにすぐ日本語で相談できるというのは大きなメリットですし、旅程や移動手段、観光スポットのチケット手配など、すべてガイドに任せられる安心感は計り知れません。
特に、長期休暇が取りづらい社会人の場合、限られた日数で効率よく観光を楽しみたいですよね。ツアーならバス移動などでスムーズに複数の観光地を回れるため、時間を無駄にすることが最小限に抑えられます。
限られた滞在期間で最大限楽しむコツ
日本語ガイドツアーを利用する場合でも、自由時間を確保できるツアーを選ぶなどの工夫をすることで、ある程度の“自分らしさ”を取り入れることができます。たとえば朝だけガイドツアーに参加して、午後は個人で街を散策するというプランにすれば、ツアーのメリット(安心・効率)と個人行動のメリット(自由・現地体験)を両立できます。
結局、「自分が旅に求めるものは何か?」を明確にすることが大切です。完全にお任せでリラックスしたいならフルツアー、ちょっと冒険したいなら部分的に個人行動を取り入れるなど、柔軟に選ぶと充実した旅になるでしょう。
ツアーのほうが良い場所もある
たとえば、アメリカのグランドキャニオンなどは「交通手段が限られる」「ガイドがいないと入れない」「移動が多い」などの制限がある場所においてはツアーのほうが効率的です。
ツアーじゃないと行くのが難しい場所においてはツアーをおすすめします。

自分に合った旅のスタイルを選ぼう
最後に、私が日本人ガイドツアーを使わない理由3つをまとめます。
- 海外なのに日本化してしまう
→ 言葉や文化の違いを楽しみたいので、ずっと日本語環境だと「異国感」が薄れる。 - 他の日本人観光客とのコミュニケーションが苦手
→ 日本人同士だと気まずい空気を感じやすく、一人や少人数のほうが気楽。 - 日本人ガイドは費用が割高
→ 予算を抑えたい場合、現地ガイドや個人手配のほうが安く済むことが多い。
もっとも、この3つはあくまで私個人の事情や考え方に過ぎません。海外旅行では、どのようなスタイルが最適かは人によって異なります。言葉の壁や効率の良さを重視するのであれば、迷わず日本人ガイドツアーを選ぶべきでしょう。特に初めての海外旅行であったり、ご家族連れで移動に不安がある場合は、多少費用がかかっても安心を優先するほうが結果的に満足度が高いはずです。
また、旅行先によっては治安や交通事情が悪く、個人で動くリスクが大きい地域もあります。そういった国々では、ツアーを利用することが安全面でも賢明な選択となるでしょう。一方、比較的治安が良く、公共交通機関も整った地域なら、英語が苦手でも翻訳アプリを使いながら個人で乗り切ることは十分可能です。
「自分に合った旅のスタイル」を見極めるためには、まずは自分が何を重視するのかをはっきりさせることが大切です。「旅先での自由度なのか」「言語の不安を減らすことなのか」「コストを抑えることなのか」「時間を無駄にしない効率性なのか」。そこを明確にできれば、ツアーを選ぶにしても個人手配を選ぶにしても、後悔の少ない旅ができるはずです。
ぜひ、海外旅行のスタイルは一つではないということを念頭に置きつつ、自分にぴったりの旅行方法を見つけてください。たとえ言語の壁や小さなトラブルがあっても、それこそが旅の面白さ。みなさんの旅が、楽しく充実したものになるよう願っています。