海外ATMで現金を引き出した後、カードが戻ってこない。画面が最初に戻ったのに、挿入口からカードが出てこない。後ろには人が並び、どうすればよいか分からない。
焦ってその場を離れると、少し遅れて排出されたカードを第三者に取られたり、ATMを特定できなくなったりします。一方、カードを取り戻そうとして挿入口をこじるのも危険です。
先に結論
ATMの前を離れず、画面が取引終了になるまで待ちます。ATM番号・場所・時刻・管理会社を記録し、銀行店舗併設ならその場で職員へ申告。並行してカードをアプリで一時停止します。ATMが不審、暗証番号を見られた、回収の見込みがない場合は、一時停止で終わらせず発行会社へ連絡して無効化・再発行を進めます。
「手伝う」と近づいてくる人へ暗証番号を教えたり、もう一度同じATMへ別のカードを入れたりしないでください。カード取り込み装置と盗み見を組み合わせた犯罪もあります。
最初の10分で行うこと
0〜2分|ATMが処理を終えるまでその場で待つ
- 現金、レシート、カードの順に遅れて出てこないか確認
- 画面の「Please wait」「Transaction in progress」などが消えるまで待つ
- 画面が反応する場合だけ「Cancel/取消」を1回押す
- 挿入口へ指、鍵、ピンセットなどを入れない
海外ATMでは、出金処理やカード返却まで数十秒かかることがあります。何度もボタンを押さず、機械が取引を終えるのを待ってください。画面が完全に初期画面へ戻り、カードも出ない場合は、機械に保持された可能性が高くなります。
2〜5分|ATMを特定できる情報を保存する
- 銀行名・ATM運営会社名
- ATM ID、Terminal ID、機械番号
- 建物名、住所、フロア、近くの店舗
- 現地の日付と時刻
- 取引金額と、現金が出たかどうか
- 画面のエラー表示とレシート
ATM全体と機械番号を撮影します。ただし、他人の顔、暗証番号入力画面、自分のカード番号が写り込まないようにしてください。

5〜10分|ATMへの申告とカード停止を並行する
銀行の支店内や店舗併設ATMなら、ATMから離れず、同行者に職員を呼んでもらいます。ひとりの場合は、ATMが見える位置から警備員または窓口へ声をかけます。
同時にカード会社アプリを開き、カードを一時停止・ロックします。電話が必要な場合は、カード会社の公式アプリ、公式サイト、カード情報を事前に控えたメモから番号を調べます。ATMへ後付けされたシールの電話番号だけを信用しないでください。
ATMの設置場所で回収可能性が変わる
| ATMの場所 | その場で行うこと | 回収の考え方 |
|---|---|---|
| 営業中の銀行支店内 | 窓口・警備員へ即申告し、パスポートとカード名義を提示 | 職員が回収できる場合がある。ただし即時返却・返却自体を保証はできない |
| 銀行支店の外壁・営業時間外 | 支店名、ATM番号、翌営業時刻を記録しカードを停止 | 翌営業日に相談できても、滞在日程と安全性を考えて再発行を優先する場合がある |
| 空港・駅・商業施設内 | 施設案内ではなく、ATM運営会社を確認。警備員にも事故を共有 | 施設職員が機械を開けられるとは限らない |
| 路上・独立型ATM | その場で記録し、第三者から距離を取り、カード会社へ連絡 | 回収より無効化・再発行を優先したほうが安全なことが多い |
銀行職員が回収できる場合でも、本人確認、カード発行会社からの許可、ATM保守会社の作業が必要になることがあります。「明日来れば必ず返す」と口頭で言われても、カードは一時停止したままにし、担当者名と受付番号を控えましょう。

一時停止で待つか、すぐ無効化するか
一時停止したまま短時間だけ回収を待てるケース
- 営業中の銀行支店内で、職員が事故を正式に受け付けた
- 暗証番号を見られた形跡がない
- ATMや挿入口に不審な部品がない
- カード会社アプリで即時に利用停止できている
- 回収予定が具体的で、滞在中に本人受取できる
回収を待たず無効化・再発行を優先するケース
- 路上や無人スペースのATMで取り込まれた
- 見知らぬ人に操作を手伝われた、暗証番号を見られた
- カード挿入口が浮いている、部品が二重に見える
- ATM管理者と連絡が取れない
- 翌日には別都市・別の国へ移動する
- すでに身に覚えのない利用通知や出金がある
カードを一時停止できても、カード番号や暗証番号を盗まれた可能性までは消せません。回収後も安心できない状況なら、古いカードを再開せず、番号を変えた再発行を選びます。
「ATMの故障」に見えるカード取り込み詐欺に注意
カード挿入口へ薄い器具を仕込み、カードがATM内へ入ったように見せる手口があります。利用者が困っているところへ第三者が現れ、暗証番号をもう一度入力させたり、電話で確認するふりをしたりします。利用者が立ち去った後、犯人が器具ごとカードを回収します。
- 暗証番号を他人に言わない
- 「警察」「銀行員」を名乗っても、その場でカードやスマホを渡さない
- 別のカードで試すよう言われても応じない
- ATMに貼られた連絡先は、銀行の公式情報と照合する
- 不審者がいる場合は、カード停止を優先して安全な場所へ移動する
カードを力任せに引き抜くと、ICチップやカード自体が破損するだけでなく、不正器具に触れて危険な場合があります。挿入口には手を入れず、警備員や銀行職員へ状況を見てもらってください。

カード会社へ連絡するときに揃える情報
- カード名義人の氏名
- カードの種類と下4桁。番号全体を人前で読み上げない
- ATMの銀行名、ID、住所
- 現地日時と取引金額
- 現金が出たか、口座・利用枠に取引が表示されているか
- 暗証番号を見られた可能性、不審者・不審な部品の有無
- 今後の滞在都市と帰国日
海外でカードを使えなくなると、ホテルのデポジットや移動費にも影響します。緊急カードの対象や受取方法は発行会社によって違うため、「カードの停止」だけで電話を終えず、デジタルカード、緊急再発行、現金調達の代替手段まで確認しましょう。緊急カードについては、海外でのクレジットカード再発行でも解説しています。
銀行・警備員へそのまま見せられる英語
The ATM kept my card and did not return it.
(ATMがカードを取り込み、返却しませんでした)
Could you check the ATM? I have already frozen the card.
(ATMを確認してもらえますか。カードはすでに一時停止しました)
What identification do you need to return the card?
(カード返却には、どの本人確認書類が必要ですか?)
Please give me the case number and the name of the person handling this.
(受付番号と担当者名を教えてください)
カードが戻った後も確認を続ける
- カード名と下4桁が自分のものか確認
- ICチップ、磁気ストライプ、カード表面に傷や接着剤がないか見る
- 利用履歴とATM出金履歴を確認
- 暗証番号を見られた可能性があれば、回収できても再発行
- カード会社が再開してよいと判断するまで一時停止を解除しない
カードが戻ったことと、カード情報が安全なことは別です。取り込み原因が不正器具だった可能性を否定できない場合は、旅行中の不便より不正利用防止を優先してください。
次からカードを取り込まれにくくする準備
- 銀行店舗内または警備員のいるATMを営業時間中に使う
- カード挿入口とキーパッドが浮いていないか触る前に見る
- 暗証番号は手で覆って入力
- カード会社アプリへログインし、一時停止方法を確認しておく
- 異なる国際ブランドのカードを別々に保管
- 少額の現金と、カード以外の決済手段を用意
まとめ|回収より先に、カードを使えない状態へする
ATMにカードを取り込まれたときは、回収できるかどうかだけに意識が向きがちです。しかし優先順位は、第三者に使われない状態を作り、ATMと取引を特定できる記録を残すことです。
- すぐ立ち去らず、ATMの処理終了を待つ
- ATM番号・場所・時刻・エラーを保存
- 銀行職員へ申告しつつ、カードを一時停止
- 無人ATM、不審者、盗み見の可能性があれば無効化・再発行
- 回収後も利用履歴とカード状態を確認
